モルディヴ共和国への遠征(English)
平成11年度を目前にして、私どもは家庭婦人チーム11名を編成してインド洋に散らばる島国のモルディヴ共和国に遠征してまいりました。
ご存じのようにこの国は赤道直下のインド洋に点在する1200あまりの小さな島からなるイスラム教の国家です。人口は約26万人そのうち首都のマーレには6万人が生活しています。主たる産業の観光以外には特筆するものはなく、ほとんどを外国からの輸入に依存しています。
私たちがこの国を訪問するきっかけとなったのは、越谷市出身の若井郁子さんが2年前から海外青年協力隊隊員としてこの国に赴任し、バドミントンを指導していた関係から、この国に「マミーズ」という家庭婦人のバドミントン愛好者の組織があり、チャンスがあれば同じ家庭婦人のチームとの親善試合をもちたいという意向があったことです。たまたま私が昨年7月に若井さんを激励するためにこの国を訪れてそうした意向を知り、埼玉県協会の目標の一つである「国際親善の推進」にもなることから計画を進めて、実現にこぎつけたものです。
3月22日午後1時過ぎに成田空港をエアランカ航空で出発して約10時間、スリランカのコロンボ空港に到着、約2時間の乗り継ぎ待ちの時間を過ごしてからモルディヴ共和国フルレ空港に到着したのは現地時間の11時少し前でした。日本との時差が4時間あるので、14時間のフライトです。若井さんとモルディヴのナショナル選手のムーサさんの出迎えで飛行場の島から首都マーレの島まで約20分、ドーニーという小船に乗って行きホテルで一泊、平均年齢55歳以上という一行なので旅の疲れも取れないままに第2日目は午前中体育館で軽い練習をして、午後は夕方からの歓迎パーティーまで体を休めました。
歓迎パーティーは、「マミーズ」のメンバーの方の所有にかかる小島でモルディヴ料理で開催されました。カレー料理が中心で辛いのを除けばとても口に合っておいしいものでした。この国の美しさは何と言っても海と空のバランスにあると思います。西の空に沈む太陽の美しさに目を奪われ、また日没後の南十字星の澄んだ輝きに感激しました。
第3日は親善試合、しかし、レベルの差はいかんともしがたく、あくまで親善第一という立場で楽しく過ごした午前中でした。試合の結果は次の通りです。
SHIMLA・RASHIDA 0ー2 深作・浅野
NAAZU・LEELA 0ー2 奈良原・村谷
SHIFA・SHIMLA 0ー2 鈴木・宮阪
「マミーズ」との試合の後、若井さんの指導するジュニア男子チームと試合をしましたが、対等といったところでした。国際親善が目的なので、記録には残しませんでしたが、ジュニア・チームには50歳を越した埼玉のマミーズがこれほどの実力をもっていることに驚いた様子が見られました。
第4日は早朝6時から男子社会人チームとの親善試合をしました。これはモルディヴ側が日本のマミーズのあまりにも強いのに驚いて、最強の編成で試合を申し込まれての対戦でした。結果はやはり男子とのパワーの差が出て惜敗でした。負け惜しみで言わせてもらうならば、早朝の試合だったことと、イスラム教のコーランが毎朝3時半からマイクで流れるため、睡眠不足になっていたことです。そして、文化の違いを感じたのは、試合の前後の握手は相手が女性の関係から握手はしないで、仏教式の手を合わせてのあいさつをした敬虔なイスラム信者がおられたことです。そんなことから感じたのは、日本マミーズがスコートやパンツで試合をしたことは、この国の男性には奇異に受け取られたのではないか、モルディヴのマミーズはタイツをはいての試合だったので少し後ろめたさを感じない訳には行きませんでした。現地の年配の女性は外を歩く際はたいていヴェールを被っての服装だっただけに、刺激を与えたのではと感じました。
第5日からの2日間はいわゆる「リゾート」での生活を満喫しました。ドーニーで約50分、スピードボートで20分の距離の「ラグーナ・ビーチ」という島での観光旅行でした。1周徒歩で20分で廻れる小さな島での生活です。真っ白な砂浜、藍色の海の色、そこに泳ぐ大小の熱帯魚との対面、すべてがおとぎ話の「竜宮城」とはこのことを言うのではないかと感じるこの国以外では絶対に体験することのできないような2日間でした。イスラムの国ではお酒と豚肉はタブーなのに、ここでは何でもOKということで別の国のようでしたが、自然との対面の素晴らしさは言葉では表現のできないものがありました。シュノーケルの眼鏡から見えるサンゴ礁の海を泳ぐたくさんの種類の熱帯魚は、自然のそして無限に広がる水族館といっても過言ではないと信じます。この国を訪問して見た者だけが感じる感激でした。
3月28日夜フルレ空港をモルディヴのバドミントン関係者、選手、若井さんに見送られて名残りはつきない8日間の親善の旅行を終えて飛び立ちました。往きと同じくコロンボで乗り換えて成田空港に到着したのは29日11時過ぎ、多少は疲れましたが、金色に輝くモスクの屋根に象徴されるイスラムの国モルディヴでのたくさんの思い出を胸に解散しました。言葉の障害はありましたが、バドミントンという絆によって結ばれた友情はきっと長続きすることと信じています。そして、これからもさらに未知の国々を訪ねて、国際親善の輪を広げて行きたいと考えています。モルディヴの皆さん、シュークリア、ありがとうございました。近い将来また仲間と一緒に訪問することを約束します。
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